春の枢軸−Deutsch
開け放した窓から、光が差し込んでいる。
どうやら、デスクにつっぷしたまま寝てしまっていたようだ。
眩しい光に目を細めて、それから溜息をひとつ。
結局、仕事はおわらなかった。
だいたい上司が悪いのだ。こんな風に一気に持ってくるのではなく、こまめに書類をだしてさえくれれば、
俺がここまで苦労することはない。
どうしてこうも俺は上司運がわるいのか。
いつのまにか季節は春。
窓の外は暖かな陽気にのまれている。
気が楽なやつはいい。
「春、か。」
だからなんだ、というわけでもないが。
ふわ、と吹き込む空気はそれでも微かに春の暖かさをたたえ。
それですこし、顔をあげた。
窓の向こう、広がる庭の隅に、小さな花の群生。
「ヒナギク…」
白に淡い桃色をした、お調子者のアイツの国花。
『ねぇ、ドイツ!そんな仕事ばっかでつまんなくない?』
『うるさい、今は相手してられん!』
『ねぇせめて寂しくないように、ここにお花植えておくね!!!』
そういえば、イタリアがあそこに花を植えていったかもしれない。
ベルリンの冬は厳しいのに、この冬を越せたのだろうか。
「妙なところでうたれ強いのは、イタリアとかわらないな。」
苦笑したら、肩の力が抜けた。
あぁ、少し自分はイライラしていたかもしれない。
空は、抜けるような青。
今度、訓練は休みにしてイタリアと日本と三人でゆっくりしてみるのもいいかもな。
適度な休息は効率をあげるのにも役立つだろう。
ペンを片づけて大きく背伸び。
窓から差し込む日差しは春を謳って
あいつらと出かけることが休息になるかは別としても少し外に出てみようか、なんて
そんな気分を連れてきた。
春の枢軸ドイツ編。デイジー…ヒナギクは越冬性が高くどこでも育つから初心者むけー。
拍手ありがとうございました!!