大人のひみつ
「にいちゃんにいちゃん!!」
「なんだ?」
「たばこすってるの?」
「あぁ」
「おいしい?」
「まぁな」
「ふぅん」
ソファーにすわるにいちゃんはふう、と息をはいて、そのたびに白い煙。
けむたい。
「おれもすいたいな。」
「こどもには、まだはえぇよ」
ソファーの背もたれから身を乗り出して、兄ちゃんのたばこを見ていたら、兄ち
ゃんは振り向いて俺のおでこにデコピンした。
いたいーぃいいぃ。
「すいたいんだもんー!!」
「わかったわかったから…こっちこい。」
てまねきに応じて兄ちゃんの隣に座って
広げた腕の中に入ってみたら、そのまま抱き締められたりして。
そして
「!!」
そのままキス。
舌いれる深いやつ。外はまだまだ日が高いのに。昼下がりの甘い空気が頬をうつ
。
「…どうだ?」
口を離した兄ちゃんはにやにや笑ってこっちを見て、
それからまたたばこをくわえた。
うん、あのね
「にがかった。」
でも、おいしかったのは、なんでだろう。
「ねぇ、兄ちゃん。」
「なんだ?」
「つづきしないの?」
それを聞いて兄ちゃんはたばこくわえたまま一瞬ぽかん、として、それから笑う
。
あはははは、とひとしきり笑って、それから
「どこでそんな言葉覚えてくんだ?…それも子供にゃまだはぇえよ。」
それから手をひらひらさせて、話はおしまい。
俺は口をとがらせて。あぁ、もう
はやくおおきくなりたいなってそのときすごくおもったんだ。