幕間2 イタリアを見て思うこと ドイツ
最近、イタリアの様子がおかしいとは解っていた。以前は無駄にはしゃいでよく抱きついたりしていたのに、最近はめっきりそのようなことをすることが減った。むしろ、自分と距離を置いているようにすら見える。それに、体調も良くなさそうだ。少し走っただけでしゃがみこんだり、立ち上がる時に貧血を起こしかけていることがある。体調には気を使うように、とは言ってあるが、彼がどれだけ実践しているのかは謎だ。なぜなら、彼の調子は近頃特に酷くなっているのだから。今朝、言われた一言を思い出した。
『何があっても、友達でいてくれる?』
彼はそう言って、手を掴んできた。その眼は言葉の軽さとは対照的に酷く必死で、頷くしかなかった。俺が頷いたのを見て、彼は安心したように息をつく。
『ありがとう。』
普段と違う彼の姿に、何か尋ねたくて、なのに何もできずにそのまま俺は手を下ろす。
あたりさわりのないことばかりを言ってこの不安感をぬぐおうとしている自分が酷く嫌になった。こうして、俺は何かをまた見逃しているような気がするのだ。