03,街角ショーウインドウ



「ようするに、俺は日本がすきなんだよねー。」

甘いお菓子を食べる彼はそういって笑うのだ。

「だから、俺のいないとこで、日本が生きてるとかほんっとありえない。」

自分の腕は動かなくて多分縛られているのだろう。まぁ、それを見れるわけではな いので確証はもてないのだけれど。視界は白一色。目隠しされているのだ。
なんだかよくわからない。彼がなぜそうするのか自分はなんでこうなっているの かとか何もかもが。

自分が問い掛ける前に彼が笑う。

「ねぇねぇ、知らないかもしれないけどさ、俺は日本が俺のいないとこで生きて るって凄くいやなんだ。だってね、俺は、日本がいなくちゃ駄目なのに、日本は平気だなんて、そんなずるいことってないじゃん。だからね。」


あはははと笑う彼にいつもの明るさはなく、ただ、沈むような暗さだけがあるの だ。
私はくらくらとする頭ばかりを持て余して、あぁ、それでも彼の言葉は脳内を侵 食して止めようがない。


「はは、あの、だからね、俺のものにしちゃえばいいとおもうんだぁ。人形さん とかいいよね、大丈夫、絶対大事にする。腐らせたりしないよ。ちいさなショー ウインドウに飾るんだ。俺のデザインした服を着せてねぇ、ん、これっていいと 思わない??俺ね、服のデザインとか好きだもん。いいね、これがいいよ。」
にこにこ笑う彼の気配が閉ざされた視界の中でも解って、もしかしたら自分は殺 されるのかもしれないとかそんな予感がつのる。
逃げなければ、でも、どうやって?

逃げなければ。でも。どうして?

どうして?そう、どうして逃げなければならないんだろう。
殺されるからだ。でも、それは忌むべきことなんだろうか。
彼の笑顔が不意に頭にうかんで消える。


「ずっと一緒ね?」


彼が近づいてくる気配。あぁどうしよう。

不意に気づいてしまった。どうやら私は彼のものになりたいらしい。






オフ会で書かせてもらったネタ。
酒に酔った勢いで書いたので、なかなか短い上に文章意味不明で痛い。