ホットミルクの夜




ぽかぽかぽかぽか。



手の中にはホットミルク。
湯気の向こうにはにいちゃん。



ぽかぽかぽかぽか。



時刻はもうすぐ夜中の12時です。
もうまっくらです。




「ふあ…ぁ」

「眠いなら寝ろ。お子様は寝る時間ですよー」

「お子様じゃないー」

「そうかそうか。」



兄ちゃんは笑ってワインを一口。
ちらちらとランプの光は揺れてゆれて
兄ちゃんの読むちょっと難しそうな本を照らしています。

今日はせっかくオーストリアさんにお休みもらって兄ちゃん家に泊まりに来たの に、 これじゃつまんないよ。



「うー…」

「なんだよ。」

「兄ちゃんのばか」



にいちゃんはあはははは、と笑います。
ランプに照らされた兄ちゃんの笑顔はとてもかっこいいです。
俺の自慢なの。



「よし、解った解った。」


兄ちゃんは立ちあがってくしゃり、と俺の頭を撫でました。
湯気がふわふわ揺れて、俺もふわふわいい気分。


「一緒に寝るか、ん?」


月が奇麗です。
俺は笑ってうん、と良い子のお返事。
オーストリアさんに言われたもんね。夜はちゃんと寝なさいってね。

ちらちらとランプの光が揺れて、兄ちゃんは俺を肩車。
テーブルの上に残されたホットミルクからまだ湯気がたちのぼっていて、あたり にふわふわ湯気の残像。


外は真っ暗です。でも、怖くないです。
兄ちゃんがいるから、しあわせなの。




「明日のあさごはんはフレンチトーストがいいな。」

「仕方ねぇなぁ。貸しは高いぞ。ツケにしとくから大きくなってから体で払え。 」

「体で払うって何?」

「そんときに教えてやる。」



なんだかよくわからないけど、いろんなこと知ってる兄ちゃんってすごいなぁ。
ふわふわ、肩車も揺れて、俺はおねむです。



「…おやすみなさい。」


「はいはい。」



今日は、いい夢が見れそう。
なんだかそんな予感がしたんだ。